減塩のデメリット
減塩のデメリット
「ナトリウムの摂取を減らすために、とにかく『減塩』すればいい」という考えは危険です。
確かにナトリウムの過剰摂取はよくありませんが、逆にナトリウム不足も体に悪影響を与えます。
ナトリウム不足が逆に高血圧を招く
体内のナトリウムが不足すると、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系という反応が起こり血圧が上昇します。先ほどはナトリウムが血圧を上昇させると書きましたが、カリウムによりナトリウムの排泄がきちんと進めば血圧は正常に戻ります。
ですが、ナトリウムが不足している場合、ナトリウムが体外から入ってこない限り、このレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の反応が続くことになります。すなわち過度な減塩でナトリウム不足の状態が続く限り、血圧上昇の機序も働き続けることになります。
じつは、高血圧は食塩の影響を受けやすいタイプの人とそこまで影響を受けないタイプの人とに分かれ、日本人は半数以上が食塩の影響を受けないタイプの高血圧だとする調査結果もあるため、減塩によって高血圧の改善が期待できるのは50%未満なのです。
ナトリウムは胃腸の消化・吸収を助ける
塩の主成分である塩化ナトリウムは胃酸に含まれる成分です。胃酸は文字通り胃の消化液の一つで、たんぱく質の消化に関わります。
胃酸が少なければ、たんぱく質が十分に消化されずに腸へ送られるので、腸は必要以上に働かなければいけなくなります。
また、ナトリウムは小腸でのアミノ酸、単糖、ビタミン、リン酸などの栄養素の吸収に不可欠です。せっかくうまく消化できた栄養素も、吸収されなければ何の意味もありません。